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じょうきょうものがたり

奏恵が東京に来た当時の話です。


あと、朝間・春翔(d02994)のお名前を拝借してますけど、背後さんには了承済みです。


― 東京都武蔵野市 7月中旬のお話
※サイファー開始前ですが、その頃には奏恵は東京にいたものと思ってください




「わ、広っ…迷子にならないかなぁ…」
 
 周囲をきょろきょろと見回してみるけど、数時間前に足を踏み入れた福岡空港とは全然広さが違う。
…と言うか、私飛行機乗ったの今日が初めてなんですが!
 
とりあえず前を行く人達に着いて行って、出口は確保したけど…これ、目的の人を見つけられるのか自信なくなってきた。
手に持ってる荷物の中は、お財布とか携帯とか貴重品と今日の着替えとか。これからの生活用品とかは先に送ってて今日中には届く予定なんだけど…今からお世話になる家に行ってからの荷ほどき考えると頭痛くなってきた。
キョロキョロしつつゲートを出て、迎えに来てくれてるはずの人を探す。…会うの数年ぶりだけど分かるのかなぁ。
 
「奏恵」
 
 名前を呼ばれて反射的に振り返ると、そこには一人のイケメンお兄ちゃんが。
…しまった、見覚えがない。迎えに来てくれるはずの人の写真はお婆ちゃんがくれたんだけど…何で小学生のなの…!何年前だと…!
 
「…春ちゃん?」
 
 恐る恐る私を迎えに来てくれているはずの人の名前を呼んでみる。これで間違ってたらどうしよう…!
…とか思ってたんだけど、それは単に私の不安に過ぎなかったらしい。
 
「まだそう呼んでいるとは、あなたらしいですね。ええ。久し振りです」
 
 ほんの少しだけ表情を緩ませたイケメンお兄ちゃんに、私は鞄を抱えなおして駆け寄る。わ、全然想像してたのと違うんですけど!背なんて頭一個半くらい違うよ!?
 
「春ちゃん久し振り! わ、ものすごくイケメンになってる…!」
「…反応に困るのですが」
「えー。褒めてるんだから、喜んでくれていいのですよ?」
 
 春ちゃんが福岡に住んでたのは一年そこら。春ちゃんのお父さんの直ちゃんと、何でか私のお婆ちゃんとお爺ちゃんが仲良かったのと、私のお姉ちゃんの律花ちゃんと春ちゃんが同じ歳で仲良くて、私も仲良くなったんだよね。…説明長。
そっか。律花ちゃん高校2年生だから、春ちゃんも変わるの当然だよね。これは律花ちゃんも会ったらビックリするんじゃ?
 
そんな事を思ってたら、淡々と喋ってた春ちゃんが心なし困ったような表情になりながら、私が抱えてた鞄に向けて手を差し出した。あれ、イケメン発言にまだ困ってる?
 
「褒めてもらえるのは嬉しいですけど、気持ちだけ受け取っておきます。 荷物は俺が持ちますよ」
「え、いいよ? そんなに重くないし、それくらいの体力は自負してます!」
「これから人の多い所を歩きます。大きな荷物を持ちながら俺に着いてくるのは、歩き慣れていない奏恵には一苦労です。迷子になられてはお互い困るでしょう」

 確かに私が抱えてる荷物は重くないけど、服とかかさばる物が入ってて少し大きい。
羽田空港でこれだけの人だと、テレビで見た山手線とか確かにどうなってるのか怖い。

「ぐ。 …それじゃあ、お願いしまーす」
 
 携帯と、お父さんに貰ったICカードを淹れた律花ちゃんにもらったモコモコふわふわのお気に入りのカード入れだけ取り出して、素直に鞄を春ちゃんに手渡す。
うん、空港で既に迷子になりそうって予感したのに、これ以上人が多いトコとかなったら、私確実に迷子になる。ここは逆らわないが吉ですな。
私の鞄を持ちながら、春ちゃんが腕時計を見る。うーん、仕草とか持ち物が出来るお兄さんって感じです。
 
「今から一時間程かけて電車を二回乗り継いで武蔵野市に戻ります。 これが奏恵のICカードです。使い方は分かりますね?」
 
 緑色の某有名なICカードを差し出されて、自信満々に持ってたもっふもふのICカード入れを見せる。その中にはバス愛用者の私の名前が入った、青いICカード。あ、都内でも使えるらしいピンクの電車のICカードもあるよ?
 
「もち! 伊達に福岡も導入されてませんよ、○ゴカとかニモ○!(※自主規制) …って、貰ったカードにチャージしないと。吉祥寺だっけ?までどれくらいかかるんだろ?」
「必要ないですよ。上限金額分入っていますから、なくさないように」
「え、上限金額って一万円!? そ、そんなの悪いよ!?使い終わったら返すね!?」
 
 既に自分のICカード入れに入れちゃった緑のカードを慌てて取り出そうとすると、春ちゃんの大きな手がそれを制する。…お父さんみたいに手が大きいけど、指が細い。律花ちゃんがお父さんはゴリマッチョって言ってたけど、ゴリマッチョと細マッチョ(※ちょっと前のCMで覚えた)は指の細さも違うのですか。
 
「父からの上京祝いです。仕事がなければ自分が迎えに行くと言って聞かなかったのですから、それくらいさせてあげてください。」
「うー…お家にお世話になるだけでも申し訳ないのに…」
 
 直ちゃんにはこれからもお世話になるのに、中学生の私にはもの凄い額が入ったカードをプレゼントしてくれるの嬉しいけど申し訳ない気持ちでいっぱいなんですが…。
家に着いたら直ちゃんの肩たたきでもした方がいいのかなとか思ってたら、急に春ちゃんに頭を撫でられる。
 
「申し訳なく思うなら、家に帰ったら色んな話をしてあげてください。それと、奏恵が父親と接するのと変わらないように接すると喜びますよ。」
「そんなんでいいの?」
「ええ。今朝も娘が出来ると嬉しそうに出勤していきましたから」
「直ちゃん…」
 
 そう言って、春ちゃんは私の前を歩きだす。
これから山手線に乗り換える駅までモノレールで行ってくれるんだって。ちょっと楽しみ…なんだけど、直ちゃん、私の事娘って。そんなの実の子供の春ちゃんの前で言ったの…と思うとなんだか春ちゃんが気の毒に思えてきた。………って、あれ?
 
「ね、春ちゃん。私相手に敬語使わなくていいんだよ?」
 
 前を行く春ちゃんの横に並んで顔を見上げる。歩調は合わせてくれてるみたいでそんなに大変じゃないけど、如何せん春ちゃん背が高すぎるのです…!
さっきからずーっと感じてた違和感がやっと分かった。春ちゃん、ずっと私に敬語で話してくれてたんだ。私の方が何個も年下なのに。
でも私の言葉に春ちゃんは困ったように苦笑してる。
 
「これが素の口調です」
「そうだっけ?前は普通にタメ口だった気が…」
 
 思い出してみても、春ちゃんに敬語を使ってもらった覚えはない。あの時皆小学生だったから、そんなの気にした事もなかったような。でも、春ちゃんは緩く首を横に振った。…イケメンさんって、何でこう、どんな動作してもイケメンなんだろう。
 
「そうです。少なくとも、福岡から離れた、ここ数年はこれが俺の素の口調です」
 
 そう言って私の頭をぽんぽんと撫でる春ちゃんは静かに目を伏せた。悪い事聞いちゃった気がして、素直に頷く事にする。
 
「そか。…律花ちゃん驚くんじゃ?」
「…連絡は今も取り合ってます。今更驚きはしないでしょう」
「え、そうなの?!」
「月1回程度の生存確認ですよ。」
「えー。律花ちゃんズルいー!2人して私に秘密で密会してたとか!」
 
 律花ちゃんの方が何個もお姉さんで、自分用のパソコンも持ってるから連絡取りやすいのは分かるんだけども!たまには私にもお手紙くれたっていいと思うのですよ!
ぶーぶーと頬を膨らませる私を見下ろして、春ちゃんが苦笑する。
 
「日本語が変ですが」
「あってるもん! 仲間外れには違いな………律花ちゃんに私が春ちゃんの家に住むことになったって、言った?」
 
 自分の顔から、さーっと血の気が引いたのが分かる。
律花ちゃんは私が春ちゃんの家にいるのを知らない。知らせちゃいけないってお婆ちゃんも言ってた。でないと今度は律花ちゃんも危なくなる。
あんな怖い目に律花ちゃんも会わせたくない。 

あんな    燃える怪物に襲われる、怖い目なんか


「奏恵?」

 春ちゃんに名前を呼ばれてハッと我に返る。ダメダメ、思い出しちゃダメだってお婆ちゃんにも言われたんだ。
あの時の事は…私はハッキリ覚えてない。怖いお化けが襲ってきたあの日………私は…何をしようとしたんだっけ…

「奏恵、大丈夫ですか?」
「あ、ううん。大丈夫…だけど…春ちゃんお願い、律花ちゃんには言わないで。律花ちゃんの事だから、東京にまで来ちゃうよ。…もう誰も、あんな目に合わせたくない」
 
 あの日、ソロモンの悪魔の襲撃があった日。家にいたのは私とお爺ちゃんとお婆ちゃんだけだった。
私は中学生になったばっかりで、クラブ活動も本格的に始まる前だったから家にいて…お父さんとお母さんはお仕事、律花ちゃんは課外が延びて遅くなるって言ってた日だった。
あれがもし、課外が遅くならずに律花ちゃんも普段通り帰ってきてたら…。

……あれ、何か変だ。 何だろ、あの日、私は   律花ちゃんの声を聴いた覚えがある
いつ? 朝、律花ちゃんが学校に行く前だっけ?いや、違う。あの日は律花ちゃん朝課外があるとかで ―
 
血の気が引く。やっぱり私は何か忘れてる。           でも、何を?

私の顔色を察してくれたみたいで、春ちゃんが静かに微笑んだ。…小学校の時より表情が変わらないけど、なんだか笑ってくれてるのは分かるようになった気がする。
 
「…安心してください。彼女が聞いてきても言いません。ただ、律花が俺達と同じであれば話は別ですが」
「私達と…同じ?」
 
 お婆ちゃんにソロモンの悪魔や魔法(サイキック)の事を教わったのは私だけ。高校が忙しい律花ちゃんがそれを知ったとは思えないし。…春ちゃんは、私の知らない律花ちゃんの何か知ってるのかな。
じっと顔を見つめる私に、春ちゃんは苦笑しながらまた頭を撫でて、こう言った。
 
「例えば…彼女が殲滅者であれば、の話です」
 
 
 
 
 
 
            春ちゃんをお借りしました。
            と言うか、まだこの時点で福岡にいる律花じゃこのシーン書けませんわ。
            奏恵が忘れてる事は、今度律花の視点を書く時にでも書きます。
            以前備忘録でメモった部分が少し修正になっているので、
            そっちは律花の話をアプした時にでも修正しときます。

            にしても、律花の親友は春翔くんと言い、叡くんと言い、
            なんでイケメンなのかな!羨ましいよ!
            あ、でも奏恵の親友のさーやちゃんは可愛いからよし!
            (※背後はさーやちゃんのファンです・笑)






          




                 

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咲宮 奏恵・律花・響
性別:
非公開
自己紹介:
響兄、律花姉と奏恵妹のゆるい日常日記だったり仮プレ置き場です。
たまに出てくる保護者兼、PLは「嘉凪 さと」と言う謎の人物。

TW2、TW3にも同背後がいますが、そちらからのリンクは現在は貼ってません。

■無用なヒント
TW2:背後の名字と同じ姉弟、忍者な女の子、引退した人
TW3:おっさん、天然元気女子、麗人騎士王子、あっさり系姉さん

TW4>>TW2>TW3の頻度で遊んでるはずです

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