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デスクッキン

奏恵の料理の腕について。

でも目線は律花になってます。
友情出演: 朝間・春翔(d02994)くん ※背後さん了承済
※律花の一人称です。




 軽快な電子コール音がベット脇に置いていたチェストの上から流れる。ベットをソファ代わりに雑誌を読んでいた私は、んーっと手を伸ばして携帯を取るとすぐに電話をかけてきた人物の名前を見ると通話ボタンを押す。
 
「はい、どうしたの?何かあった?」

 通話相手は、朝間春翔。 ― 私の小学校時代からの親友だ。とは言っても、小学6年生で親友と呼ぶ間柄になってから今年の8月までは直接会うのは年に1、2回程度の遠距離親友だったのだけど。
 
『…律花』
「うん。何よ?」

 何となく元気のない春翔の声に首を傾げながら、急ぎでもなさそうなので再びベットに寝転がって雑誌を捲る。ちょうど一週間前くらいに奏恵が熱で倒れたって電話があった時は、さすがに焦ったけど、今日は開口一番で用件を言わない辺り、違うらしい。
私の呑気な返事に脱力したのか、彼は少しの間を開けてから力なく言った。
 
『………奏恵に何故料理を教えなかった…』
「急にどうし………春翔、食べたの?!」

 まさか、と過った惨劇に慌てて身を起こすと、手近なバックに財布と家の鍵を詰めて、今すぐにでも出かけられる状態にする。
すると案の定電話越しに聞こえてきた力ない言葉に私は頭を抱えそうになる。
 
『食べた』
「バ ― …一応聞くわ。見た目は普通だったの?」
『カレーで見た目から判断できるか』
「ああ…それはご愁傷様と言うしかないわね」
『だから何故あのまま放置していたんだ』

 春翔の主張は最もだ。や、私も奏恵の料理がこの上なく残念な…って言う言葉じゃ足りない位に破壊力が高いのを言い忘れてたのもあるんだけど…。
 
「…お婆ちゃんがね」
『お婆さんが?』
「…魔女の才能よって言って矯正しなかったのよ…。お母さんと私もどうにかしようとしてたんだけど…」

 そう。我が家の祖母は魔女なのだ。
魔女と言っても魔法が使えるワケじゃない。中世ヨーロッパとかで言う、そう言う知識に長けた、単なる人だ。けれど、魔法にも似た薬や道具の知識を持っている彼女達は、かつての時代魔女と呼ばれていたのだ。で、私の祖母はそれにソロモンの悪魔の存在を知る、サイキックや殲滅者の存在を知るを足した程度の存在に当たるので、魔女と呼ぶに相応しいと言うワケ。

魔女の才能がなんなのか、彼女を師事してない私には分からないのだけど、そう言われて奏恵はそのまま育ってしまったのだ。
奏恵本人がそう思ってしまっている以上、母と私では彼女を矯正しようがなかったのだ。どうやらその意図は電話越しの相手にもしっかり伝わったらしく、珍しく長ーい溜息が聞こえた。
 
『…そこは人として矯正すべきだろう…』
「我が家の魔女に言ってよ、それ。 で、それ残りどうしたのよ」

 奏恵の料理は、食べても爆発したり倒れたりはしない。ただ、食事と呼ぶには酷く食材に申し訳ない物。白米を例で言うなら、芯が残ったお粥状と言えばいいかもしれない。
なので正直間食するのは至難の業だったりする。農家の方には大変申し訳ないけど、あれを間食するには時間と調味料と根気が必要です。

…私の問いに返事が返ってこない事に、自分の顔色が悪くなるのを感じる。
 
「…まさか食べきったの?」
『奏恵の目の前で捨てられるか』
「奏恵馬鹿」
『律花は捨てられるのか?』

 春翔の切り返しに、私は「う」と言って言葉を詰まらせた。
ここ最近奏恵は冷蔵庫以外のキッチンへの出入りをお母さんに禁止されてたので、彼女の作ったカレーとか食べたのっていつが最後だったか思い出してみる。
 
「…福神漬けとからっきょうって偉大よね。玉子とかウスターソースもこの場合有効よ」

 あれは確か、私の中学のクラブが遅くなった時にお婆ちゃんと一緒に作った時だったかな、と思う。
実はお婆ちゃんも料理の名人なのだ。別の意味で。お爺ちゃんは普通の料理を作ってくれる人だったから、確かあれは結構酷かった覚えがある。でも、あれを完食した自分も今更ながら褒めてあげたい。
 
『お互い様じゃないか』
「悪気があってのデスクッキングじゃないもの。怒るのは可哀想だわ」
『俺もそう思う』

 ほんの少し春翔の声色が優しく聞こえる。前に、奏恵は妹みたいに思ってるって言ってたのは信じていいみたいね。
そう思って緩めた表情を引き締め、私は頭の中で春翔の家に行くまでの道順を描く。薬局があるルートを辿ってどれくらいかかるかしら。
 
「…そうね、姉として尻拭いしてあげるわ。 胃薬は一箱でいい?ペットボトルも買っていくけど」

 玄関へ向かいながら、一応鏡で変なトコがないかは確認。寝転がってたから寝癖なんてついてたら笑えないし。
 
『父さんも分も頼む』
「何それ。朝間親子は猛者ね、本当。 それじゃあ20分後くらいにまた電話するわ」
 
 そう言って、靴を履きながら電話を切る。
この調子だと、春翔が晩御飯作るの厳しいんじゃないかなと思って、買い物ルートにスーパーを追加して、献立を考えつつ私は玄関の扉を閉じた。
 



 
春ちゃんの背後さん曰く、春ちゃんは奏恵の事を実の妹のように可愛がってくれてるらしいので。
 
ちなみに奏恵はもの凄いデスクッキングの使い手です。え、サイキックのブイヨンがあるんじゃって?
や、今回はカレーですから具材がアウトだったと思ってくださいな(笑)

 
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プロフィール

HN:
咲宮 奏恵・律花・響
性別:
非公開
自己紹介:
響兄、律花姉と奏恵妹のゆるい日常日記だったり仮プレ置き場です。
たまに出てくる保護者兼、PLは「嘉凪 さと」と言う謎の人物。

TW2、TW3にも同背後がいますが、そちらからのリンクは現在は貼ってません。

■無用なヒント
TW2:背後の名字と同じ姉弟、忍者な女の子、引退した人
TW3:おっさん、天然元気女子、麗人騎士王子、あっさり系姉さん

TW4>>TW2>TW3の頻度で遊んでるはずです

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